加賀藩の命により藩士 後藤才次郎を有田へ技能の習得に赴かせ、
明暦初期(1655年頃)から藩の殖産政策として始めてから約370年の歴史を持つ九谷焼は、
石川県南部の金沢市、小松市、加賀市、能美市で生産される色絵陶磁器です。
九谷焼は青(緑)、赤、黄、紫、紺青の九谷五彩(くたにごさい)を中心としたごく限られた色目で絵付けされ、
その最大の特徴は和絵具の盛りの厚さ、色鮮やかさにあり、限られた色使いでありながら、
力強いコントラストで色鮮やかに器全面に上絵付けを施す世界に類を見ない色絵陶磁器です。
その出自は美術工芸品から始まり、古九谷から続く歴史を脈々と受け継ぎながら、
現代においては多くの方に親しまれる色絵陶磁器となりました。
今回の商品の絵付けに際しては呉須(ごす)と呼ばれる顔料で罫線を描いていく古九谷由来の上絵付け手法はそのままに、独自調合した和絵具を用いて、スクリーン印刷を行った転写紙を活用して上絵付けを施しております。
転写紙といえども、九谷焼の最大の特徴である和絵具の盛りの厚さ、色鮮やかさは損なわず、また何よりも独自調合の和絵具の透明感が色絵の美しさを際立たせています。
特にフリーカップは九谷焼の和絵具の窯で焼成した際に溶けて流れる性質を活かして、転写紙の繋ぎ目が意識させないシームレスな絵付けも特徴的です。
文化遺産としても登録されている古九谷色亀甲牡丹蝶文大皿にも用いられる亀甲紋様をベースに青海波、紗綾形の吉祥紋様を間取りに配し、センターにはサッカー日本代表のエンブレムを配したデザインとなっております。
亀甲紋
青海波
紗綾形
亀甲紋様は長寿吉兆の縁起物である亀の甲羅をデザインした日本の伝統的な紋様で、亀の甲羅は硬く身を守れることから健康、長寿、そして六角形が崩れない連続紋様であることから、不変の強さ、永遠の繁栄を象徴している紋様であります。
また青海波は穏やかな波がどこまでも続く様子から未来永劫を願い、紗綾形は「不断長久(繁栄、長寿が長く続くこと)」を意味し、亀甲紋、青海波、紗綾形を用いたデザインで、日本サッカーの不変の強さ、永遠の繁栄を願い、またピッチに立つ選手達の健康、長寿の願いが込められたデザインとなっております。